数年前の5月頃に、胃腸の不調を感じるようになりました。市販の胃腸薬で対処をしていましたが、ある日大量の下血をしました。大量出血の割に貧血症状はなかったのですが、時間外でしたが病院に電話をして受診すると緊急入院になり、治療とともに検査をした結果クローン病と診断されました。1年くらい前に職場の部署が異動になりかなりのストレスを抱えていると感じていました。暴飲暴食になったことも発病したきっかけになったのかもしれません。

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病院に到着すると患者さんで一杯でしたが、緊急性があったせいかすぐ呼ばれて点滴をされました。そして血液検査などが行われ暫くベッドで休みました。緊急手術なども視野に入れて様子を見ていると、症状が安定したのでこのまま入院して内科的治療を行うことになりました。治療法はまずは禁食です。そして胃カメラと大腸カメラをやって評価してから、具体的な治療方針を決めると言われました。

入院期間は未定と言われましたが、大体の予想を聞くと一ヶ月前後と思ってくれれば言われました。少なくとも1週間は禁食で炎症が落ち着いたら、重湯から少しずつ上げていきます。消化管に炎症がある場合は、消化管を休める意味でも禁食が一番の治療のようで辛いですが我慢することになります。

入院したのは内科病棟でしたが、今考えると当たり前かもしれませんが、若い患者さんはほとんどいませんでした。そして病棟が一日中騒がしいことに驚きました。夜中でも看護師さんの作業している音が聞こえ最初はなかなか眠れませんでした。ナースコールで呼ばれる度にパタパタと早足で駆けつけて、その後ガチャガチャとワゴンを運んでいる音が聞こえてくると何かあったのか、とつい気になってしまいました。

病室には高齢の患者さんも多くて、看護師さんとのやり取りで笑ってしまうこともありました。少し気難しいというか拗ねている患者さんがいて、ある日ベッドから落ちて頭を軽く打ちました。看護師さんが心配して駆けつけて、名前はわかりますか?と言われると、名無しの権兵衛、と答えたので思わず爆笑してしまいました。他にも食事制限があるのに、夜中にカップヌードルを食べて看護師さんに見つかって説教されている患者さんなどもいて面白かったです。

偏見があったのかもしれませんが意外だったのは医師がみんな優しかったことです。高慢なイメージがあったのですが、親身になって対応してくれたことに感謝しています。若い医師は休みなく働いていたことには驚きました。本当に大変な仕事だと改めて感じました。

入院中は9時消灯で6時過ぎに起床という、今までの生活と違うリズムに戸惑いました。採血がある時は4時頃病室に看護師さんが来て行うので大変でした。辛かったのは禁食中の夜中に病室の患者さんが煎餅を食べていたことです。食事中なら我慢できますが全く食べることを禁じられていたので、夜中に音を出されると辛かったです。逆に食事中に気を遣ってくれる患者さんがいて嬉しかったです。君は食べられないのに私だけ食べてゴメンねとか、早く食べられるようになるといいねと言う言葉には元気を貰いました。

また久しぶりに食事を食べられることになった時に、患者さんや看護師さんが自分のことのように喜んでくれたのは嬉しかったです。決して美味しい食事だけありませんが残さずに全部食べました。この経験があったので、今では普通に食べられることに感謝して、体調に問題がある時以外は残さず食べるようになりました。病室の方とはそれぞれ違う病気ですが共感できる部分も多くて親しくなりました。今でも外来でたまに会うことがあり、ちょっとした会話をするのが楽しみになっています。