今からちょうど10年前の夏ごろ、全く食事を食べられなくなり入院しました。病名は急性胃腸炎でした。3週間ほど入院しました。その頃私は仕事がかなり忙しく、早朝から夜12時近くまで仕事をしていました。過労の状態が半年弱も続き、心身が疲弊してしまいました。何を食べても美味しく感じられなくなり、次第に毎日下痢の状態が続くようになりました。水分を取るのもやっとで仕事にも行けなくなり、家族が見かねて救急車を呼び入院する運びとなりました。

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救急車で運ばれた後、脱水症状を起こしていることが判明しすぐに点滴をしてもらいました。救命医の方に全身を見てもらったところ、今すぐ何とかしなければならない重篤な病気はなさそうだとの説明を受けました。「入院して薬を飲みながら様子を見てみましょう」ということになり、その日からそのまま入院となりました。救急車で運ばれたのはすでに夜だったので、入院病棟に入ったのはその日の深夜になります。貴重品の管理の仕方やテレビの使い方、家族に持ってきてもらった方が良いものなどの説明を受け、すぐに横になり休みました。幸い私の場合は、入院して薬を服用しゆっくり休んだところ症状が落ち着きました。そのため胃カメラを飲んだり、お尻からカメラを入れたりということはしていません。

 入院中、点滴を24時間欠かさず打ってもらっていました。トイレに行くときも、病院内を少し移動する時でも点滴を自分で持って移動します。体調が良くないので、その姿が他人からどんなふうに映っているか考える余裕すらありません。ある時1階の売店に行こうと思い、点滴を持ってエレベーターに乗ったところ男性と鉢合わせました。その男性は私を見て「点滴イヤだなー」と、本当に嫌そうな顔をしてぼそっと言ったのです。私の顔色がかなり悪く、よたよたと点滴を持って歩いていたからでしょう。その言葉に私は思わずクスッと笑ってしまいました。健康になった今だからこそ分かるのですが、若い女性が衰弱した状態で点滴を持って移動していたらあまりいい気持ちはしません。

驚いたことは、掃除係のおばさんが気を遣ってたくさんの漫画を譲ってくれたことです。入院中は自分自身や周囲の方たちは調子が悪く、悲しい雰囲気が漂っています。しかし、病院で働いている方たちに励まされたり温かい言葉をかけてもらえることが多く、驚いたと同時に優しさに感動しました。

入院していたのは1ヶ月弱と短い期間ではありますが、体が楽になってくるにつれて周囲の入院している人達を観察する余裕も出てきました。入院中に私が毎日恐怖を感じていたことは、明け方に聞こえてくる声です。入院中は昼も夜もベッドに横になりおとなしくしているので、眠りは浅くなり少しの物音でも目が覚めてしまいます。毎日明け方に、隣の部屋からだと思うのですが、高齢の女性の苦しそうなうめき声と何かを吐いているような声が毎日聞こえて来ることに気がつきました。だいたい朝の4時~5時の間です。抗がん剤の治療をしている方でその副作用か何かなのかな、とぼんやりと思ういながらまた眠りについていました。

また、4人の相部屋で入院していましたが、慣れてくると徐々に話す機会も増えて、どんな方がどのような病気で入院しているのかがわかってきました。私の隣にいた人は寝たきりの女性でしたのであまり話はしていませんが、毎日娘さんがお見舞いに来て、静かにベッドの横に座っていらっしゃいました。

他には不整脈でカテーテル治療をしている方がいらっしゃいました。手術ではなくカテーテル治療は入院期間が短くて済み、家族や周囲への負担、金銭的な負担も少なく済むのだそうです。カテーテル治療で調べると、フェイスメディカルや欧米メーカーなどがありますが、月に1~2回程度の間隔で通院をして再発や後遺症などの確認を行い、半年くらいで治療が終わる予定だそうです。年齢も若い方だったので、傷口が目立たないのも良かったね、と他の患者さんとも話していました。